もふもふ魔獣と平穏に暮らしたいのでコワモテ公爵の求婚はお断りです

(アルドが暗殺者に襲われるのは初めてではない。俺の名が出たからといって、簡単に牢に捕らえるものだろうか? アルドも陛下も、それほど短慮ではないはずだ。これまでの付き合いもあるしな。となると、なにかしらの理由があって俺を牢に入れたと考えるべきか)

 明らかにこの状況がおかしいとわかっているだけに、グランツはまったく焦っていなかった。

(ここで考えたところで答えは出ないだろうが、時間は多すぎるぐらいある)

 す、と視線を少しだけ天井にほど近い小窓に向ける。空気を入れ替えるために存在している小窓から、長身のグランツが脱獄するのは不可能だ。