もふもふ魔獣と平穏に暮らしたいのでコワモテ公爵の求婚はお断りです

 グランツは木製の椅子に腰を下ろして苦笑した。

「そう言ってくれるのはありがたいが、あまり公言するな。余計な火の粉が降りかかるやもしれん。巻き込まれないよう、牢番としての責務を果たしてほしい」

 牢番はくっと唇を噛むと、扉の向こうで自身の左胸に手を当てた。

そしてグランツに向かって深々と敬礼し、その場を立ち去る。

「……さて」

 グランツは無意識に自身の腰に手をやり、そこになにもないのを感じ取って肩をすくめた。

(剣がないと落ち着かないな。囚われた身で言うのもどうかしているが)

 椅子に座ったまま腕を組み、現状をまとめる。