もふもふ魔獣と平穏に暮らしたいのでコワモテ公爵の求婚はお断りです

 部屋には綿のベッドと小さなテーブル、そして椅子が備えつけられている。床には絨毯が敷かれ、小型の暖炉まであった。さらに本棚や遊戯盤まで置かれている。

(牢獄に入ったのは初めてだが、これはまた……)

 一般的な貴族ならば、こんな狭い部屋に閉じ込められたら、昼夜を問わず牢番に文句を言うだろうが、騎士としての生活に慣れているグランツにはなんの問題もなかった。

 必要があれば、十日でもひと月でも野宿する。敵に居場所を悟られないよう、火を禁じた状態で雪原に何時間も留まることだってあったし、汚い泥や魔獣の血を浴びたまま数日を過ごすこともあった。