もふもふ魔獣と平穏に暮らしたいのでコワモテ公爵の求婚はお断りです

 疑問の声をあげるよりも早く、式典のために控えていた騎士たちが、呆然と立ち尽くしていた彼女を拘束する。

 わけがわからないながらも、彼女は自分よりも〝魔獣〟の心配をした。

(逃げて)

 既に騎士たちは召喚された魔獣を討伐しようと武器を構えている。

 このままではなんの罪もない獣が殺されてしまう。彼女が呼び出してしまったばかりに。それだけは避けたかった。

(逃げて。ここから離れて……)

 言葉にせずとも伝わったのか、魔獣は彼女を一瞥すると空に向かって跳躍して逃げ出した。無事に逃げ切れたかを見守る時間も与えられないまま、彼女は乱暴に引き倒され、地面へと顔を押し付けられる。