「なにか申し開きすることはあるか?」

「はい」

 許しを得てようやく口を開いたグランツは、頭を上げてまっすぐ前を見据えた。

 玉座にはリンデンの国王夫妻が並んで座っており、忠実な騎士から目をそらさずにいる。

「恥ずかしながら、私は殿下の身辺に起きたことを把握しておりません。いつなにが起きたのか、説明を求めます」

 冷静に言いながらも、グランツの内心には激しい焦りと動揺があった。

 疑いということは、暗殺は未遂だったのだろう。だが、まさかアルドがそんな目に遭っているとは思いもしない。

 グランツは基本的に領地を離れず、タスローに駐屯している。