もふもふ魔獣と平穏に暮らしたいのでコワモテ公爵の求婚はお断りです

 しかし呼び出した獣は、見た目こそ禍々しいがおとなしく、瑠璃色の瞳は知性を湛えて澄んでいた。

(悪いものではないと、ラベーラ様に伝えたほうがいい……?)

 自主的に行動したことのない彼女は、どうすべきかはかりかねてためらってしまった。

 そのためらいが命運をわけ、彼女よりも先にラベーラの声を人々に届かせた。

「これは魔女の仕業よ」

 ラベーラはよく通る声で言うと、物陰から見ていた〝親友〟を指さした。

「セニルースを混沌に陥れ、聖女(わたし)の力を奪おうとする魔女の策略だわ!」

 〝親友(ラベーラ)〟はなにを言っているのだろう──?