もふもふ魔獣と平穏に暮らしたいのでコワモテ公爵の求婚はお断りです

(グランツ様は今まで、私の魔法について極力触れてこなかった。だけどもし、ラベーラ様のように私の力を求めたら……)

 まだ親友と言ってくれた王女を完全に疑いきれてはいないが、彼女がシエルの力を強く求めていたのは事実である。

(グランツ様には私の力を求めてほしくない。……そんなふうに求められたくない)

 どう言葉にしていいかわからず、シエルは唇を開いたままグランツを見た。

 顔を上げたグランツはシエルの視線を受け止めると、眉を下げて苦い笑みを浮かべる。

「情けない話だが、私は貴女より弱い。……そのうえで、改めて守りたいと思った」

「え……」