もふもふ魔獣と平穏に暮らしたいのでコワモテ公爵の求婚はお断りです

 シエルの身体から力が抜け、ミュンが腕の中からすとんと落ちる。

「シエル!」

 地面にへたりこもうとした身体を支えたのは、駆け寄ったグランツだった。

「大丈夫か? 今の魔法はいったい……」

「だ……大丈夫です。ちょっと気が抜けてしまって……」

 猿の返り血を浴びたグランツの腕にすがり、シエルはゆっくりと呼吸を繰り返す。

 イルシャとグランツを守らなければという思いから発現した魔法は、敵を一匹残らず殲滅したが、かなり体力を消耗するものだったらしい。

 足に力が入らなくなってしまったシエルは、グランツの背中に腕を回して抱きしめる。

「シエル──」