もふもふ魔獣と平穏に暮らしたいのでコワモテ公爵の求婚はお断りです

母親がいかに強い獣でも、子供のミュンにはまだ戦いがわからない。狩りを学ぶほどの大きさもないミュンにできるのは、シエルの腕で震えていることだけだった。

 きゅう、と怯えて鳴くミュンの頭をシエルがそっと撫でる。

「大丈夫。大丈夫よ」

 自分自身にも言い聞かせながら、シエルは固唾をのんで戦いを見守った。

 猿たちの攻撃が激化し、休みなくグランツとイルシャを襲う。

 シエルとミュンが無事でいられるのは、彼らが必死に守っているからだった。しかしそれも時間の問題なのか、次第に押され続ける。

(このままじゃ……)

 シエルの腕の中でミュンが悲しそうな声で鳴く。