もふもふ魔獣と平穏に暮らしたいのでコワモテ公爵の求婚はお断りです

 木から木へと飛び移るそれは、子供ほどの大きさに見える。この場が煤の森である以上、人間の子供でないことだけはたしかだった。

「シエル、下がっていてくれ」

 魔獣との戦いに慣れているグランツは、判断も早かった。

 イルシャがうなりながら立ち上がり、先ほどシエルが示した樹上を警戒して、辺りをうろうろと歩き始める。

 無邪気なミュンも異様な空気を察したようで、とととっと勢いよくシエルのもとに駆け寄った。受け止めたシエルの腕の中にちんまりと収まり、『なにが起きているの?』と不安そうに鼻を鳴らす。

 シエルはグランツに言われた通り、足を引いて一歩ずつ下がった。