もふもふ魔獣と平穏に暮らしたいのでコワモテ公爵の求婚はお断りです

「グランツ様の悪夢を癒やしたいです。たくさんの優しさをいただいているのに、なにもお返しできていないから……」

 自分の無力さを悲しむシエルだったが、グランツはそんな彼女の頬を愛おしげに包み込んだ。

「かわいらしい寝顔を堪能させてもらっただけで十分だ」

 シエルの顔がさっと赤くなる。

「そっ、それは忘れてください……!」

 グランツは恥じらっているシエルに顔を寄せ、こつんと額を重ねた。

「貴女は本当に優しいな。好きになった自分を誇りに思う」

「グランツ様のほうが、私よりもずっとお優し──」

 言いかけたシエルは、思いがけずグランツとの距離が近いことに気づいて唇を閉ざした。