もふもふ魔獣と平穏に暮らしたいのでコワモテ公爵の求婚はお断りです

 再び顔を上げ、きっぱりと言い切ったシエルは、いつもの彼女と違い強い意思を瞳に秘めていた。

 グランツは、これまでに見てきたおっとりしたシエルと違う姿に気圧され、言葉を失う。

「イルシャから私を守ろうとしてくださいましたし、背中から降りる時にも受け止めてくださったでしょう。それから家具を作ってくれましたよね。おかげで前よりもずっと過ごしやすい生活を送れるようになりました」

 硬く握られていたこぶしがほどけると、シエルはグランツの指に自分の指を絡めた。剣を握り慣れた男の手と、戦いを知らないか細い女の手は、あまりにも違いが大きい。