もふもふ魔獣と平穏に暮らしたいのでコワモテ公爵の求婚はお断りです

 彼女は他者に願われなければ、魔法を扱えない。それ以外で使った経験がないせいだ。

「ありがとう、私のかわいいお友達。次はこっちもよろしくね」

「はい、わかりました」

「ふふっ、やっぱりあなたってとっても素敵だわ。私たち、ずっと親友でいましょうね」

「はい」

 こうして彼女は、ラベーラを聖女たらしめるために朝から晩まで働いた。自身の存在を誰にも知られることなく。それは彼女が両親に望まれ、強いられていた生活とさほど変わらなかったが、〝親友〟という優しい響きが苦しみを麻痺させていた。

 他者はそれを搾取と呼ぶが、人との交わりが少なかった彼女にはわからなかったのである。