もふもふ魔獣と平穏に暮らしたいのでコワモテ公爵の求婚はお断りです

「よかったです」

 そう言ってからシエルは再びグランツの肩にもたれた。

 ぎょっとしたグランツだったが、そのままシエルの好きにさせる。

 眠る前と同じく、二人の間に穏やかな沈黙が下りた。

(また眠ってしまいそう。不思議ね。最初はグランツ様を恐ろしい人だと思ったのに……)

 出会いたての頃は、相手の出方を探ってばかりで気まずさを感じたこともあったが、今は会話をしていなくても気にならない。それどころか、安心感すら覚えた。

「貴女といると、いつも穏やかな気持ちになる」

 不意にグランツが口を開き、シエルは軽く顔を上げた。

 横顔から彼の表情はうかがえないが、声は静かで優しい。