もふもふ魔獣と平穏に暮らしたいのでコワモテ公爵の求婚はお断りです

 グランツが居心地悪そうに身じろぎをして、シエルが寄り掛かっているほうの腕を軽く持ち上げた。宙をさまよった手は、ついに観念して彼女の肩を抱き寄せる。

「これからもこの気持ちは変わらない」

「はい」

 腕の中にいるだけで、幸せな思いが込み上げる。

 シエルは目を閉じてグランツの体温と、かすかに伝わる鼓動に集中した。

(この気持ちが、グランツ様と同じ〝好き〟だったらいいのに)

 しばらくシエルはグランツに抱き寄せられたまま、甘い気持ちに浸っていた。

やがてとろとろと眠りが迫ってきて、目を開けていられなくなる。

 それに気づいたのか、グランツがシエルの髪を撫でながらささやいた。