もふもふ魔獣と平穏に暮らしたいのでコワモテ公爵の求婚はお断りです

 シエルはふうっと息を吐くと、グランツに触れるのをやめて彼の肩にもたれた。

「グランツ様はいつも、私にとてもよくしてくださいますね。ご迷惑ばかりおかけしているのに、ありがとうございます」

「迷惑などと思ったことは一度もない。……貴女が好きだからな」

「好きというのは、どういう気持ちなのでしょう。私もグランツ様を好きになりたいです」

 ひゅっとグランツの喉が不自然に鳴る。

「それは……大変ありがたいが、私が教えることではないように思う。いつか貴女もその瞬間が来ればわかるはずだ。私がそうだった」

 シエルはグランツにもたれたまま、彼の話に耳を傾けた。