もふもふ魔獣と平穏に暮らしたいのでコワモテ公爵の求婚はお断りです

 グランツの中で、シエルは子魔獣のミュンとあまり変わらない存在だ。

 警戒心が強く、それでいて好奇心もあり、構ってくれる相手にまとわりつく。ミュンはよくグランツの手を甘噛みしたが、今のシエルの行為もそれと同じなのだろう。

 行動はやや小動物に近いシエルも、ずいぶんと人間らしい豊かな表情を見せる瞬間が増えた。

 シエルに自覚はないが、特にグランツが訪れた時にうれしそうな顔をする。シエルにもミュンやイルシャのような尾があれば、勢いよく振っていたはずだ。

「グランツ様の手はどうしてこんなに硬いのでしょう?」

「貴女の手がやわらかすぎるんだ」

「そういうものですか?」