もふもふ魔獣と平穏に暮らしたいのでコワモテ公爵の求婚はお断りです

ミュンが毛にたっぷりと水を含んだ状態で、彼の膝の上にのった。そのせいで、乾いていた服がびしょ濡れになる。頭を冷やしたいと思っていたグランツにとっては、ありがたい冷たさだった。

(いつかグランツ様と……)

 最初の頃は彼のことが怖かったシエルも、今ではすっかり心を許している。

 グランツは孤独だったシエルの話し相手になり、自領や王都から見たことのないものや、食べたことのないものを持ってきて、いろいろなことを教えてくれた。

 優しく接せられた経験のないシエルは、まるで壊れもののように扱われると、空でも飛んでしまえそうなほどふわふわした気分になってしまう。