もふもふ魔獣と平穏に暮らしたいのでコワモテ公爵の求婚はお断りです

 それを聞いたシエルがびくりと肩を跳ねさせる。

「グランツ様はお優しい方です。悪い人には……なりませんよね?」

「信用してくれるのはうれしいのだがな……」

 二人の様子を観察していたイルシャが、なにか言いたげに尾を振った。

 びしょびしょのミュンが駆け回り、グランツの足もとまで来て彼の服を引っ張る。

「ほら、ミュンも岸に上がれと言っている。水に触れるのは手ぐらいにしておこう」

「せっかく気持ちいいのに残念です。いつか、グランツ様の前で水に入ってもよくなる日は来ますか?」

 それがどういう意味を持つのか、理解してしまったグランツがうろたえる。