もふもふ魔獣と平穏に暮らしたいのでコワモテ公爵の求婚はお断りです

「最近の貴女はあまりにも……あまりにも、私によろしくないな。今まで、こんなに理性を試された経験はない」

 言葉を選びながら言うと、グランツはようやく呼吸ができるという様子で息を吐いた。

「すみません……」

「いや、悪いのは私なんだ。……このぐらい耐えられなくてどうする」

 ぱちんと音を立て、グランツが自分の頬を両手で叩く。

 そして今のやり取りから逃げるように、泉のほうへ歩いていった。

清らかな水を湛えた泉の淵に膝をつき、はしゃぐ子魔獣に邪魔されながら手を浸すと、波紋がゆっくりと広がる。

シエルもちょこちょことグランツの隣に座り、彼のやることを真似して水に触れた。