もふもふ魔獣と平穏に暮らしたいのでコワモテ公爵の求婚はお断りです

 それどころかグランツはシエルの肩にそっと手を添え、彼女をやんわりと引きはがしながら深呼吸する。

「……貴女は正直で、素直で、純粋すぎる」

「それはあまりよくない意味でしょうか」

「少なくとも私にとっては。……だが、貴女の言葉は本当にうれしく思う」

「よくないことなのに、うれしいのですね」

「……貴女に獣(けだもの)だと思われたくないんだ」

「獣?」

 グランツは鉄の理性をもって誘惑を断ち切り、なんとかシエルと距離を取った。

 言動の意味を理解できず、シエルは困ったような表情を浮かべる。