もふもふ魔獣と平穏に暮らしたいのでコワモテ公爵の求婚はお断りです

 ほんのり思考を巡らせたシエルだったが、グランツの腕のぬくもりからは離れがたい。

(理由をお伝えすればいいかもしれない)

 そういう問題ではないのだが、シエルにはわからなかった。

「グランツ様に触れると、なんだかうれしいんです。だからもう少しだけこうしてくださるとありがたいのですが……。今日は暑いですし、ご不快でしょうか?」

「あまり……私を試さないでくれ……」

「え?」

 グランツの腕がシエルの背に触れるか触れないかといった位置でさまよう。彼女を抱きしめるか迷っているのは明らかだったが、結局なにもせずに終わった。