もふもふ魔獣と平穏に暮らしたいのでコワモテ公爵の求婚はお断りです

 思いがけず好きな女性を抱きしめてしまったグランツは、今、まったく頭が回っていなかった。

「も……もう少し、離れてもらえる……だろうか」

「はい」

 そう言ったものの、シエルは離れる前にまたグランツを見つめる。

「こうしているのはいけないことですか? もしグランツ様さえよろしければ、もうちょっとだけ……」

「ぐっ」

 なにかを押し殺すような鈍いうめき声が聞こえ、シエルは首を傾げる。

 グランツの顔は先ほどとは比べものにならないくらい、赤く染まっていた。ご丁寧に耳まで色づいている。

(私、もしかしておかしなことを言ってる?)