広い胸と温かな体温がシエルを包み込み、自然と彼女の鼓動を高鳴らせる。
(グランツ様は私よりずっと大きい方なのね。わかっていたつもりだったけど……)
しかしシエルは、抱きとめてくれたグランツの反応がいつまで経ってもないことに気づき、不思議そうに顔を上げた。
そこには、自国の人間どころか、他国にまで名が知れ渡り、恐れられているカセル騎士団長の──真っ赤な顔があった。
「グランツ様?」
「あっ、いや、その、なんだ。すまない」
「どうして謝るのですか?」
「それは、ええと」
よくわかっていないシエルは、まだグランツの腕の中に納まっている。

