もふもふ魔獣と平穏に暮らしたいのでコワモテ公爵の求婚はお断りです

「そうか、それならいいんだ。──イルシャ、悪かったな。お前がシエルを傷つけるはずはないのに、つい身体が動いてしまった。許してくれ」

 ふん、とイルシャが鼻を鳴らして、転がっていたミュンも口にくわえた。

 そのままグランツを振り返り、『ついてこい』と視線を送ってから歩き出す。

「先に行ってくれ。ミディイルならすぐに追いつく」

「なにかあったら声をあげますね」

「ああ、頼む。なにもないのが一番だが」

 イルシャはシエルを背に乗せ、ミュンをくわえたまま足を速め始めた。