もふもふ魔獣と平穏に暮らしたいのでコワモテ公爵の求婚はお断りです

「私のかわいいお友達。今日は南部に雨を降らせてほしいの。今、地図を見せてあげるわね。ほら、ここよ」

 羊皮紙に描かれたセニルース王国の地図を見せ、ラベーラはいつものように彼女にお願いをした。

「私たち、親友でしょう? 聞いてくれるわよね」

 こくりとうなずいた彼女は、ラベーラの示した土地を頭に思い浮かべた。

 城に引き取られて十年、一度も部屋の外へ出たことはない。しかし彼女の心強い魔法は、遠くの景色を胸の内に映し出す。

 本当ならば鏡や、それに準じたもので像を映し出すほうが負担が少なかったが、ラベーラは彼女の命にかかわるようなことでもない限り、必要以上のものを用意しない。