もふもふ魔獣と平穏に暮らしたいのでコワモテ公爵の求婚はお断りです

 シエルとの距離を縮めるのは非常に時間がかかる。今も心を許してくれているとは言いがたいが、彼女はグランツを拒まずにいつも出迎える。

(人恋しいのか、それとも……)

 『また来てくださいますか』と不安げに言ったシエルが脳裏によみがえる。

警戒心があるのかないのかわからない言動は不安を感じさせた。

 シエルは自我が薄いのではないか、自分というものが希薄なのではないかと何度思ったかわからない。

 グランツが強く出ていないから穏やかな関係をはぐくめているのであって、強引に迫ったら、彼女は怖がりながらも受け入れかねないという気がしている。