もふもふ魔獣と平穏に暮らしたいのでコワモテ公爵の求婚はお断りです

「兄様! お帰りなさい!」

「ただいま。だが、走ってくるのはいただけないな。未来の公爵がそれでどうする?」

「急いで兄様をお迎えしなきゃと思って。僕、寝ないで待ってたんだ」

 グランツは苦笑し、十五歳も年が離れた弟の髪を撫でてやった。

 ラーク・フォン・ノイフェルトはグランツの母親違いの弟で、まだ八歳という幼さである。愛妾の子として生まれたグランツと違い、本妻から生まれた正当な後継者だ。

 ほかの家門ではやや複雑な関係になりかねない兄弟だが、二人の仲は非常に良好で、特に弟は兄を心から慕っている。