もふもふ魔獣と平穏に暮らしたいのでコワモテ公爵の求婚はお断りです

 平民の家に生まれた彼女は、膨大な魔力を持っていたことから、両親に見世物の道具として扱われ生きていた。

 食事や睡眠の時間も満足に与えられず、言われるがまま魔法を行使させ、両親のために金を稼ぐ人生に疑問を抱かなかったのは、彼女がそれ以外の人生を知らなかったからだ。

 やがて彼女は、奇妙な力を持つ少女の噂を聞きつけたとある貴族によって、大金と引き換えに両親のもとを離れた。

 貴族は少女を多少見られる姿に整えはしても、ほとんど家畜と同じように扱った。

 少女は魔法を要求されない生活に対し、自分の存在意義を奪われた気がして毎日不安に思いながら過ごしていたが、そんな生活も長くは続かなかった。