「うわ!葉澄、空手家めっちゃ似合うね」




ようやく迎えた桜崎祭当日。

外も上手い具合に晴れてるし、これは外からのお客さんもかなり期待できそう。


そしてその準備のため、私たちのクラスでは各々がコスプレを始め……

着替え終わった私の姿を見たなっちゃんの第一声がそれだった。




「やばい本当に空手やってそうじゃん」


「あ、あはは……」


「なんか型みたいなのやってみてよ」


「えっと、……こんな感じかな」




初心者がやっている、弱々しくてキレがいまいちな型を再現してみる。

逆に難しいな。


だけどなっちゃんからは「おおー、それっぽい」というお言葉をもらった。




「なっちゃんも似合ってるね、清楚系お嬢様」


「まーね。でもこんなほぼすっぴんのナチュラルメイク、落ち着かないわー」


「ていうかなっちゃん、ちゃんとキャラ作らなきゃ。お嬢様なんだから『パンが無ければケーキを食べれば良いのでございますわ!』とか言わなきゃ」


「……葉澄のお嬢様観が雑すぎて怖いわ。清楚系なんだから丁寧語でしゃべっとけばなんとかなるでしょ」