へえ。やっぱりというか、高森くんは昔から賢いんだ。

確かに、とびぬけて頭が良い人に対して気後れしてしまうような経験は私にもあるかも。



「ついでに言えば、眼鏡をかけているので今はわかりづらいかもしれませんが、結構目付きが悪いんですよね。そのせいで話しかけてくる人が少なく学校で孤立しかけまして。それが嫌だったので悩んだ末……こうして『敬語で・ゆっくり・穏やかに・笑顔で』というのを意識して話すようにしてみたんです」


「今みたいな話し方ってことだね。効果あったの?」


「はい、ものすごく。一気に『穏やかで話しやすい』という評価に変わりました」




高森くんは苦笑いしながら肩をすくめ、続ける。




「なので元々この話し方は、他人に避けられないための手段だったわけですね。奏多が素の性格を隠して人に好かれやすいキャラを演じているのと同じようなものです」


「なるほど」


「違うのは、僕は話し方を変えただけで言いたいことはそれまで通り言っているのに対し、奏多は本当の自分を完全に隠している……というところでしょうね」


「……ねえ高森くん。柳沢くんってさ」