「おーい、こっち飾り足りないぞ!」


「衣装試着してない人!早く来て!」


「メニュー表の原本完成したよ~誰かコピー取ってきてくれない?」


「この辺の本もう使わないから暇な人いたら図書室に返してきて欲しい」




文化祭が近づいてくるにつれ、私たちのクラスでも準備に熱が入ってきた。

そして本番が三日後に迫った今日からは、準備期間としてたくさんの時間が文化祭準備のために与えられる。




「メニューのコピーと本の返却行ってくるね」




私はそう声を掛けて、十冊ちょっとの本とメニューの原本を持って廊下に出た。

どこのクラスもうちと同じようにわいわいと盛り上がっているのを肌で感じられる。


廊下の角を曲がろうとしたとき、向こう側から来た誰かとぶつかりそうになった。




「うわっ」



本で両手が塞がっていたこともあり、バランスを崩しかける。

どうにか体勢を立て直してぶつかった相手に目を向けた。そして、思わず「あ」と声を上げる。