「へえ、面白そうだね」




柳沢くんは、にこりと優しい笑みを浮かべた。

なんと、意外に乗り気らしい。




「よーし、じゃあお互いが選んだやつに拒否権はなしね!」




柳沢くんのイメージの逆……逆かあ……。

そもそも柳沢くんのイメージといえば……。



一生懸命絞り出した案を、私たちはお互いになっちゃんに伝える。




「オッケー、二人のコスプレはこれで決定、と」




メモを取ったなっちゃんが背を向けて教室を出て行った。

それを確認してから、私は「柳沢くん!」と小声で言いながら肘で小突いた。




「何でよりにもよって空手家なのっ⁉」


「『か弱くておしとやか』なハスのイメージの逆だよ」


「ぐぬ……」




悪びれることなくそう言われ、言葉に詰まる。

悪意がすごい!

似合っちゃうよ空手家!なんせ中学時代の私そのものだからね!




「ていうか文句はこっちも言いたいんだけど。完全にハスにとっての俺のイメージを基準に考えてたでしょ」


「えへへ、つい」