その瞬間、柳沢くんはハッとした様子で私から手を離して、顔を背けた。




「……早く帰って、忘れないうちに今日の復習しといた方が良いんじゃない?」


「あ、うん」


「明日からは学校の図書室でやろう」


「わかった。えっと、今日はありがとう」




私は広げたテキストをまとめながらお礼を言う。


……えっと。さっきの、何だったんだろう。


柳沢くんの行動の意味もわからないし、……今の自分の感情もわからない。



わからない。何だろう。何これ。

どうして、心臓がこんなにバクバクしてるんだろう。