「とりあえず三つ質問がある」
「はい……」
「一つ目、この学力でどうやって高校に入ったのか。二つ目、授業中いったい何を聞いてるのか。三つ目、本気で赤点回避する気あるのか」
うぅ……辛辣だ。辛辣すぎる。
でも。
「入試は直前に塾の講習参加して乗り切りました。授業中は正直先生の声は右から左に素通りしてます。赤点、回避したいです。お願いします、柳沢くん」
「……わかった。とりあえず今日は数学集中コースね。テストまでに全科目平均以上は取れるよう仕上げるよ」
「うわあ、目標高っ……でも頑張る」
──この言葉を皮切りに、私にとって地獄のような時間が始まった。
そして日が沈み始めた頃。
「もう……無理……いっそ殺して……」
私は机に突っ伏しながら今にも消えそうな声で言った。
一日にこんなに集中して勉強したの、受験勉強のとき以来だ。いや、それ以上かも。
ていうか、予想通りとはいえ厳しすぎる~!
褒められた方がやる気出るタイプなのにっ!
「……ふーん。まあ、最初の出来を考えればだいぶできるようになったんじゃない?」
「だよね……」
「でもこれじゃまだ平均には届かないな」



