ちゃんと正直に理由言ったんだから教えてくれても良かったのに。
……まあでもよく考えたら、高森くんだって知り合ったばっかりの別に仲良くない人相手に勉強教えるような暇ないか。
よーし。今回のテストはもう諦めよう☆
そう思ってため息混じりに頭を上げると、意外な提案をされた。
「とりあえず、日曜日うちで勉強会やろうか。二人で」
「え……」
「心配しなくても、俺がお望み通り優しく教えるから」
「本当に?」
「要するに、皆の前で作ってるキャラの状態で教えれば良いんでしょ?」
「そんなことできるの?」
「できる。だから甚や他の奴に頼るの禁止」
「わかった!」
猫かぶりバージョンの柳沢くんなら、確かに優しい。
……だけどこの時、「家で二人きり」ということの意味、それから私の学力について、ずいぶん考えが甘かったのだ。



