「なんだそれ」
「わ、私にとっては切実なことなの!」
「いや、俺に隠す意味わかんないし。てか勉強なら俺でも教えられるし」
「それはそうだけど……柳沢くん、絶対馬鹿にするじゃん」
「は?」
「教えてくれたとしても、絶対めちゃくちゃ厳しいじゃん!」
確かに柳沢くんだって、十分すぎるぐらい賢い。
だけど!普段からちょいちょい馬鹿にしてくるし!私の勉強のできなさ見たら、もうめちゃくちゃ馬鹿にしてくるに決まってる!
それに比べて、昨日初めて話した高森甚くん。彼は穏やかで紳士って感じだった。
この学年で一番賢くて、その上優しい人に勉強見てもらえたら、さすがの私だって全科目赤点回避できるかもしれない。
「だから……お願いします、高森くんの連絡先教えてください!」
姿勢を正して深々と頭を下げる。
柳沢くんが大きなため息をついた。そしてはっきりと言う。
「だめ」
「何故にっ」



