「私何かしたかな……?」


「自分のモノになったと思ったら安心して興味薄れたとか?割とそういう男も多いみたいだし」



うん、まあ本当のカップルならその場合もあるかもしれないけど。偽装カップルだからラブラブな様子を見せないと意味ないんだよ~

……って言えないのがツラい。

だけど別に心当たり無いんだよなぁ。


原因がどうしても気になって、一生懸命記憶を探っていたその時だった。




「興味が薄れたっていうのはまずないと思いますよ」




覚えのない男の声がすぐそばで聞こえた。

驚いて顔を上げると、優等生っぽい雰囲気のメガネをかけた男子が、空いていた私の隣の席にいつの間にか座って微笑みを浮かべていた。

真面目そうだけど根暗な感じはしなくて、インテリ系イケメンとして人気がありそうな顔だ。




「えっと……?」


「初めまして香田さん。僕は7組の高森(たかもり)(じん)といいます」


「はあ」




誰だろう。

名乗られても心当たりがなくて私は首をかしげたけど、なっちゃんは何かを思い出したように「ああ」と声を上げる。