ハッカ飴のおかげでだいぶ気分が落ち着いた私は、ふと周りを見て、今いる場所がエレベーターの前だと気付いた。
柳沢くんが立ち止まったのはエレベーター待ちのためみたいだ。
やがて扉が開くと、柳沢くんはまた私の手を引いた。
「どこ行くの?」
「最上階」
「最上階って……展望台?」
「何とかと煙は高いところが好きらしいから、あんたも好きなんじゃないかと思って」
「お、おぉ……私は煙だったかな……」
まあ柳沢くんに比べたら頭良くもないけどさ。
そんなことを思っているうちに、階数表示ランプが止まって、扉が開いた。
エレベーターを出てすぐさっそく目の前に広がった景色に、私はさっき軽く馬鹿にされたことなんか忘れて歓声を上げた。
「すごい!ここの展望台初めて来たけど思ったより高いね!」
周辺に高い建物が少ないこともあって、遠くの方までよく見える。



