「……ねえ、それ、柳沢くんが食べるの?」




店員さんが運んできた柳沢くん注文の品を見て、私は思わず聞いてしまった。




「は?俺が頼んだんだから当たり前でしょ?」


「いや、だってなんか意外というか……マシュマロピザって……」




せっかくカフェに入ってもアイスコーヒー一杯でぐらいしか頼まなさそうなタイプだと思ったのに、まさかボリューム満点で甘さ限界突破みたいなメニュー選ぶなんて。




「マシュマロ……好きなの?」


「……悪い?」


「悪くない悪くない!意外だっただけ!」


「こんな馬鹿みたいに甘くて馬鹿みたいに柔らかい人を甘やかすためだけに開発されたみたいな食べ物、人間として好きにならない方がおかしいんだよ」




何やら謎の理論を語りだしたのは、どうやら照れ隠しみたいだ。


柳沢くんにも案外可愛いところがあるんだなあ。

ほっこりしながら、私も自分で注文したタルトを口に運ぶ。