数十分後。

私は冷静に考えられるだけの落ち着きを取り戻していた。


とりあえずスマホで誰かに連絡……は無理だな。

掃除の間はいつも教室に荷物を置きっぱなしで、スマホも今鞄の中だ。


となれば。

私は鍵のかかった体育倉庫の扉を、叩いたりしながら強度を確認する。

まあまあ老朽化が進んでるみたいだし、私なら蹴破ることだってできなくもない。ていうか絶対できる。


でもそれは最終手段かな。

学校のもの壊しちゃったら弁償させられるだろうし、私のゴリラ並みのパワーもバレてしまう。


……うぅ、ダメダメ。別の方法考えるぞ。


扉以外に外に繋がる場所は……窓ぐらいだ。


といっても、窓はかなり高めの位置にあるし、格子がはめられたタイプだから、そう簡単に脱出はできなさそうだけど。


私はとりあえず窓の様子を確認するため、倉庫の中にある道具を適当に積み重ねて即席の足場をつくった。

ぐらぐらとする足場を慎重に上って、埃をかぶった格子を見る。

ドライバーがあれば外せそう。まあなくても、薄くて硬い物があればドライバー代わりに使って外せるかな。