それは突然のことだった。


放課後。掃除が終わって一人でゴミ捨て場に行ってきた帰り。

いきなり、ざっと数えて10人ぐらいの女子たちに囲まれた。


何が起こったんだろう……とぽかんとしている間に、派手な化粧をした大人っぽい美女が、ラスボスのごとく悠々とした足取りで私の前に進み出た。




「あなたが香田葉澄さん?」


「そう、ですけど……」


「ふぅん」




彼女は私のことを頭の上からつま先までじっくりと観察してきて。

やがてハッと鼻で笑った。




「なぁんだ安心した。思ったよりブスじゃないの」




なななな何なんだ!名乗りもせず人のことじっくり観察したかと思えばどストレートな悪口!

それでもってその他大勢の皆さんは大爆笑。




「だから言ったじゃん!きっしーの方が断然上だって!」


「そうそう!柳沢くんだってどうせ気まぐれで付き合っただけだよ!」


「柳沢くん、きっとすぐ目が覚めるよ!」



ん、何か柳沢くんの話してるな。

それに“きっしー”って

……あ、これが岸井さんか!