まあ確かに、柳沢くんに告白されでもしたら、ほとんどの女子はOKするだろうけど。

自分で言うのね……。




「あと普通に『好きな人がいる』より『彼女がいる』の方がすんなり諦めてもらえそうだし。あんたなら普通に人気あるから、俺が片思いしてた相手っていう設定もそれなりに信憑性がある」


「ま、待ってよっ!」



勝手に話を進められそうになっているのに気づいて、慌てて止める。



「さすがにそれは出来ないよ……」


「何でもするって言ったばかりだけど?」


「言ったかもしれないけど」


「でもこれ、あんたにもメリットあると思うよ」


「え?」



ずっと機嫌の悪そうだった柳沢くんが、ここにきていきなり笑顔になった。

だけどその笑顔は、噂に聞く『見ただけで気絶するような美しすぎる微笑み』とはかけ離れていて。

どちらかといえば、新しいおもちゃを見つけたときの子どもみたいだな……なんていう印象を抱くものだった。



「あんたさっき、『誰にだって知られたくない部分なんて一つや二つある』って言ってたよね」


「う、うん」


「あんたにとっての『知られたくない部分』って、これだろ」



そう言った柳沢くんは、スマホの画面を私に向ける。