猫かぶりの柳沢くんは、独占欲が強め




これまた難易度の高いことを突きつけられた……と焦る。

柳沢くんは「だから慣れるための練習でしょ」と言って、目を瞑った。


ど、どうしよう。

ていうか柳沢くんの顔、やっぱり綺麗。

まつ毛なんて、美容液使って必死に伸ばしてる私より長いんじゃ……?


目を閉じているのを良いことに、隅々まで観察したくなってしまう。




「まだ?」


「ご、ごめん!」




くっ、腹を括れ香田葉澄!

ゆっくりゆっくり柳沢くんに顔を近づけていく。

あと1センチで唇が触れる……というとき。


テーブルの上に乗っていた柳沢くんのスマホが大きな音を鳴らし始めた。




「柳沢くん!電話掛かってきてるよ!」




私は助かったとばかりに柳沢くんから顔を離す。

柳沢くんのスマホの画面には、高森くんの名前が表示されていた。




「は?そんなん無視でいいよ」


「ダメだよ!急ぎかもだし!」




柳沢くんは大きな大きなため息をついて、面倒くさそうにスマホを取った。