突然何の話かと思ったけど、ちょっと想像してみた。
それは、うん……
「怖い、かも」
「今言ったの、全部中学の時俺が実際にやられたこと。……ったく、外面良くしてるのは楽に過ごすためであって、あいつらに好かれるためじゃないっつーの」
……どうやら、柳沢くんはずいぶんとヘビーな経験をしてきたみたいだ。
心が柳沢くんへの同情に傾きかけていたけど……一応もう少し食い下がってみる。
「で、でも!例えば昨日告白してた子がそんなことするとは限らないよね?」
「……そんなことはわかってる。でも経験上俺にとっては好きとかそういうの全部例外なく気持ち悪いんだよ」
「えっと、だけど柳沢くんも好きな人いるんでしょ?告白断るときにそんなこと言ってたじゃん」
「あんなの嘘に決まってるだろ。ああやって言うのが一番角が立たずに断れるから。俺だって本当の気持ち本人に言ったらとんでもなく面倒になることぐらい知ってる」
「そっか……」
私の中で、さっき事情を知らずに『最低』と言ってしまった罪悪感が芽生えてきた。
「あの、柳沢くん……」
おずおずと手を挙げる。



