──冬休みが終わる。

柳沢くんはといえば、初日から普通に登校してきていた。

ちなみに、黒板に書かれた文字も冬休みの間に消されたらしく跡形もなく消えていた。



クラスメイトたちは、しばらく腫れ物に触るように柳沢くんに接していた。

でもその中に、あの日黒板に書かれた落書きを見て逃げたのは何故かと皆の前で尋ねる人もいて。


柳沢くんはそれに、いつもの王子様スマイルを浮かべながらこう答えた。




「実は彼女の風邪がうつったみたいで、学校に着いた瞬間いきなり具合悪くなったんだ。そのまま冬休みに入るまで寝込んじゃってさ。……え?黒板に何か書いてあったの?見てないな」




なんか私だしにされた。

とはいえクラスメイトたちはそれで十分納得したらしかった。


そして、クラスの外に広まった噂を鎮めてくれたのはちょっと意外な人だった。




「あらあら、私の奏多くんを悪く言うのはどこの誰かしら?よっぽどこの私を敵に回したいらしいわね」




岸井さんだ。