私は少しうつむきながらも、はっきり言い放つ。
「何となくわかるよ。口が悪いことは隠してるんでしょ?誰にだって知られたくない部分なんて一つや二つあるよ。だからそれをわざわざ言いふらすようなことしない」
「ふうん……そう」
「で、でも!」
私はぎゅっと唇を噛んで、柳沢くんを精一杯睨みつけた。
「いくら口の悪さが素だとしても、勇気を出して告白してきた子に対して『気持ち悪い』なんて思うのは、最低だからっ!」
相手の子はいったいどれだけ勇気を出して、どんな思いで告白したと思ってるんだろう。
私は一年前の初恋と初失恋のことを思い出して、もやもやとした嫌な気持ちが胸に広がる。
だけど、何となく気分を害したような顔をしたのは、柳沢くんも同じだった。
「あのさあ。そうは言うけど、こっちにその気はないって何回も言ってんのにしつこく好きだ好きだって言って追いかけ回して、挙句の果てに自宅特定するようなの、気持ち悪くないのか?」
「え?」
「わざわざ同じシャーペン買って無断でこっそり入れ替えてきたり、よく行く本屋でいつも待ち伏せしてるようなのは?……バレンタインチョコに自分の髪の毛入れてくるのは?」



