思いがけず山内に会い、私の気持ちが沈んでいたとき。

柳沢くんは『何とかと煙は高いところが好きらしいから、あんたも好きなんじゃないかと思って』とかナチュラルに馬鹿にしつつ、ショッピングセンター最上階の展望台へ、私を連れて行った。


でもその言葉はたぶん冗談で。

……嫌なことがあったとき、柳沢くんは高いところに行きたくなるんじゃない?

だから落ち込む私を見て展望台に誘った?




「あ、あの!この近くで景色の良い高いところってありませんか?公園でもビルでもお店でも何でも良いので!」




柳沢くんのお母さんは不思議そうに目を瞬かせながらも、いくつかの場所を教えてくれた。

私はお礼を言って、それぞれの場所をスマホで検索し、場所を確認する。


順番に回ってみるしかない。



私は慣れない町並みの中、スマホのマップを頼りに景色の良い建物や空き地を走って巡る。

だけど、教えてもらった五か所のうち、四か所まで空振りだった。