「ごめんね。気持ち悪いよね。同性からのこんな気持ち……」
「そんなことない!」
しぼんでいく弱気な言葉を、私は思わず遮った。
「嬉しい。好きだって言ってもらえるのすごく嬉しいよ」
「……ほんと?」
「うん。……だけど、好きな人がいるから、茉莉花ちゃんの気持ちには応えられない。ごめんなさい」
「知ってる。わかってた」
人生で、二番目に受けた告白。
知らなかった。告白を断るのって、こんなに胸が痛むんだ。
「葉澄ちゃん。わたしがこんなこと言うのも変だけど……」
茉莉花ちゃんは目に浮かんだ涙を拭いながら言う。
「あの日わたしを助けてくれたみたいに、かなくんのことも助けてあげて」
「……うん。頑張ってみる」
上手く私の言葉が届くのかはわからない。
だけど、寄り添いたい。やっぱり、彼の隣にいるのは自分がいい。
立ち上がった私は、迷わず柳沢くんの家方面の電車が来るホームへ向かった。