わたし、ズルいから。

茉莉花ちゃんはそう苦笑いする。




「かなくんがわたしに負い目を感じていて、わたしの頼みをそう簡単に断らないの分かった。分かってて、葉澄ちゃんと別れて欲しい、わたしが葉澄ちゃんに近づく手助けをして欲しいってお願いした」




私は、こっそりと後を付けたハンバーガーショップでの二人の会話を思い出す。


『かなくん、葉澄ちゃんと別れて。それでわたしの恋を、成就させてよ』


恋を成就させて。

私は当然のように、柳沢くんと付き合いたいっていう意味だと思った。

だけどそれは、私との仲を取り持ってもらいたいという意味だったんだ。




「まあ、あっさり断られちゃったけどね。負い目に感じていても、それとこれとは別って思ってたのかな。それとも絶対に譲れないぐらい葉澄ちゃんが好きなのかな」


「……」


「きっと、譲れないぐらい好き、の方だろうな」




そう言った茉莉花ちゃんは、申し訳なさそうに目を伏せた。